前回の一般質問の「海岸保全施設の整備」に続き、陸地の災害対策として 緊急輸送道路の質疑を行いました。緊急輸送道路とは大規模災害が起きた場合における避難・救助をはじめ、物資の供給、諸施設の復旧等、広範な応急対策活動を広域的に実施するため、非常事態に対応した交通の確保を図ることを目的に、重要な路線を緊急輸送道路として船橋市地域防災計画に定めた路線となります。最寄りインターチェンジや他市を結ぶ国道14号線や船取線などが指定されています。

船橋市では緊急輸送道路に対して耐震診断費用を助成しております。これは、震災時の緊急輸送道路の通行確保を図ることを目的に建築物の所有者が耐震診断を行う場合に市がその費用の一部を助成する事業です。災害時に、緊急車両の通行を確保すべき重要な路線であり、ライフラインなど社会基盤の早期回復を図るためには、緊急輸送道路の確保が重要となるためです。

現在、市が把握している道路の通行を妨げる恐れのある建物は全体で127棟あり、そのうち耐震改修工事が必要な建物は10棟で、診断未実施など耐震性が不明な建物は79棟あります。

耐震改修工事が進まない理由として、経済的な部分が大きな理由だと考えられます。助成事業は当該建築物の所有者が耐震診断を行う場合に市がその費用の一部を助成する事業ですが、診断結果によって改修工事が必要となる場合、工事費用の助成はありません。診断結果によって改修工事が必要となる場合、所有者が全額負担しなければならず、費用も高額なことから改修工事を躊躇してしまう所有者の方もいると思います。

耐震診断費用も高額な上、3分の1は自己負担であることと、改修工事費用も全額所有者の自己負担となると、経済的な理由から診断を行わない所有者の方もいると思います。一方、国においては社会資本整備総合交付金として助成しており、耐震診断費用、改修工事費用ともに国は3分の1、県は市区町村が負担する4分の1を助成しています。

そこで、明らかに建築物が老朽化しており、災害時に倒壊する恐れのある建築物に対しては、これらの制度を活用して耐震診断のみならず改修工事も行い、災害に備えて緊急輸送道路の通行を妨げないよう道路の確保をすべきだと指摘しました。また、工事費用の助成によって所有者の方の経済的負担の軽減にも繋がり、耐震改修工事を促しやすいと考え、市の見解を伺いました。

市の答弁では、緊急輸送道路の通行の確保は極めて重要なものと考えており、国等の制度も活用して、耐震改修の実施に繋がるような使いやすい支援制度について検討を進めているとのことでした。

緊急輸送道路は、非常事態に対応した交通の確保を図ることを目的に定めた路線です。地震発生時に建築物の倒壊により道路が閉塞された場合、円滑な避難を困難にするおそれのあるものとして道路の確保は安全の確保にも繋がります。耐震診断と同様に国や県の助成制度を活用しながら耐震改修工事の助成制度の早期実施を強く要望しました。