近居・同居と定住化

近年、女性の社会進出や超高齢化社会の対応策として「近居」が注目されています。近居は親世帯と子世帯がスープの冷めない距離と言われている1.2km以内に居住することを言います。親世帯と子世帯が同じ家に暮らす「同居」ではなく、何かあったらすぐ駆けつけることができる近居の需要が高まっています。

私も現在、近居ではありませんが、妻の両親と同居をしております。子どもと合わせて5人で一つ屋根の下で生活をしており、いわゆるマスオさんです。よく大変だねと言われますが、確かに大変です。しかし、3世代で一緒に住むことによる様々なメリットもあります。子育てサポートや、何かあった時の助け合いとして身の回りの支援など、住まいの選択肢として近居・同居は有効といえます。

船橋市では、これから近居・同居をする世帯に助成する制度として、親・子世帯近居同居支援事業があります。マイホームを購入する場合には登記費用として上限20万円、賃貸の場合は仲介手数料として上限10万円の助成を受けることができます。一昨年から始めた事業で、近居を中心に申請件数、助成件数が増えてきており、今後も近居需要が見込まれそうです。

4月13日、独自の住宅助成を行なっている千代田区の視察に行ってきました。子育て世代や高齢者世代など多様な人々がライフステージに応じた住まいを選択しながら住み続けることができる街を目指した、親元近居助成と区内転居助成があります。親元近居助成は、新婚世帯・子育て世帯が区内に引き続き5年以上居住する近居を理由に住み替える場合、世帯構成に合わせて助成金を受け取れる制度です。

助成内容は、例えば夫婦と子1人の3人世帯の場合、 1年目5万円、2年目4.5万円、8年目1.5万円と5千円ずつ減額しながら最大8年間助成されます。もう一つの区内転居助成は、子育て世帯が区内で転居する時に利用できる制度です。子どもの成長に伴い、広い住宅に住むための区内転居する子育て世代への助成です。助成内容は、例えば夫婦と子1人の3人世帯の場合、1年目3万円、2年目2.7万円、8年目9千円と3千円ずつ減額しながら最大8年間助成されます。

千代田区の助成制度のように新婚さんや子育て中の家族が区内に来てくれればおのずと地域は活性化しますし、介護や子育てのシーンでは家族間の助け合いも生まれます。住みやすい街だと実感すれば、そのまま永年に渡って定住ということになりますから、これはよく考えられた制度だと思いました。また、制度要件の中には、地域の町会に加入することが義務付けられており、助成を受けている世帯には、単に町会に加入するだけでなく、どのように地域を支えていくのか、地域の支え合いなども促進しています。近居・同居だけではなく、定住化促進の観点からの住宅助成も必要だと考えます。