昭和から平成初期にかけて、教育熱心な親のことを「教育ママ」と呼ぶ時代がありました。教育方針があり、子どもを積極的に塾や習い事に通わせるような親を指していました。現在では死語となりましたが、その一方で、親による行き過ぎた教育は「教育虐待」と呼ばれています。
教育と虐待の境界線は曖昧で、前述の「教育ママ」も教育虐待に該当する可能性があります。子どもの感情や行動を自分でコントロールできるように導くことは「しつけ」とされ、力によってコントロールしようとする行為は「虐待」に分類されます。「教育」と「虐待」の境界線は曖昧です。つまり、教育虐待は保護者が一方的に教育やしつけを押し付け、親の要求に沿わないと、子どもの自尊心を傷つける発言などの心理的虐待や暴力を振るう行為を意味します。
幼少期、出来が悪かった私は、父からよく、「言葉でわからないなら体で覚えろ」と言われ、度々手を出されたことがありました。今となっては、これも一種の教育虐待だったかもしれません。そのような経験から、私は人の顔色をうかがう癖がついたのですが、成人してからは、これを得意分野と捉えるようになりました。現在は、子を持つ親として、親の意向と子どもの意向の間でバランスを取ることの難しさを感じています。特に、言葉選びには慎重です。敏感で繊細な心を持つ子どもへの接し方は、大人以上に難しいものです。
千葉市内で2月6日、家庭現場などの取材を基に活動する著名なジャーナリストの講演を聞く機会がありました。児童相談所が対応した児童虐待件数は約22万件で過去最多を更新、千葉県は約9千件、全国ワースト4位であることと、18歳未満の子どもの7人に1人が貧困状態であることなどが報告されました。その要因として、虐待や経済的困窮にある家庭では、学習環境や人的交流が乏しい傾向にあるとされる上で、行政の支援窓口は時代に対応できていない指摘や、他市における参考事例の紹介ともに、子どもたちを置かれた環境から色眼鏡で見ることなく、尊重することが最も大切であることを強調されていました。まさに同感で、本当に子どもの立場で、寄り添った支援が必要であると思います。
【こども家庭庁】令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)
現在、船橋を管轄する市川児童相談所は、本市を含む、市川、浦安、鎌ケ谷の4市を管轄していますが、年々増加する相談件数の約半数は児童虐待相談件数となっており、このうち船橋市が多数を締めています。このような背景から、船橋市は令和8年4月に、JR南船橋駅近くに児童相談所を開設予定です。児童相談所の設置によって、虐待の未然防止から初期対応、一時保護措置など最後まで切れ目のない一貫した支援を期待したいと思います。
最後にご報告です。先月実施した義援金において、皆様のご支援により5382円が集まりました。立憲民主党を経由して被災地へ送金しました。朝のお忙しい時間帯にもかかわらず、ご協力いただき、誠にありがとうございました。