現在、米不足が深刻な問題となっています。
近所のスーパーでは、お米の棚が空っぽになっているところがほとんどで、レトルトのパックご飯も品切れです。我が家の米も残りわずか2キロとなり、まさに兵糧攻めのような状況になりました。9月頃に出荷が予定されている新米によって、供給量や価格が安定することを期待したいと思います。
さて、米不足の要因ですが、去年の記録的な猛暑や雨不足によって、米の生産量が大幅に減少したこと。そして、外食需要の増加やインバウンド客による米需要の増加。そして、減反政策の影響が指摘されています。減反政策は、米の価格を安定させるために導入された重要な施策でしたが、長期的には生産基盤の弱体化を招く結果となりました。そのため、異常気象などの不測の事態に対する対応力が低下したと考えられています。平成と令和の米騒動のいずれにも、この政策の影響が見られるとされています。1970年代から2018年まで実施されたこの政策の影響は、現在でも続いているとされています。
過去には、1993年に冷夏による大凶作で「平成の米騒動」と呼ばれる大規模な米不足が発生し、現在と同様に、スーパーのお米売り場には多くの消費者が殺到しました。当時話題となったタイ米は、細長い形と水分の少ないパサパサとした食感が特徴的で、今でも多くの方の記憶に残っているのではないでしょうか。
そこで、政府は1993年の平成の米騒動を契機に、米の安定供給を目的とした備蓄米制度を導入しました。備蓄米制度は、政府が毎年一定量の米を備蓄し、緊急時には市場に放出することで米の供給を安定させる仕組みです。目的は、災害や大凶作などの緊急時に備えて蓄えられており、食料の安定供給を確保するためとしています。
政府は毎年20万トンの米を購入し、5年間で約100万トンの備蓄をしています。古い備蓄米は順次入れ替えられ、飼料用としても売却されているようです。つまり、備蓄米制度は、災害時や不測の事態に備えて政府が米を備蓄し、必要に応じて市場に放出することで国民の食料を確保するための制度です。
最近では、南海トラフ地震への不安から、米の買い占めが増えています。しかし、農林水産省は、備蓄米制度もあることから、過度な買いだめは避けるよう呼びかけています。
制度の存在が十分に知られていないことから、災害時や米不足の報道があると、不安な気持ちから、消費者が過度に米を買いだめしてしまう傾向があります。このような買い占めは、供給の混乱を招き、本当に必要な人に行き渡らなくなる可能性があります。政府や関係機関は、このような制度を改めて広く周知し、消費者に対して、冷静な対応を呼びかけるべきではないでしょうか。