第50回衆議院議員総選挙におきましては、多大なるご支援をいただきまして、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

開票日当日、私は開票立会人として夏見台にある運動公園の開票所で立ち会いました。開票立会とは、開票手続きが適正に行われているかを確認し、票の有効や無効などの判断に意見を述べたり、公正に判断する役割を担うものです。20時の投票終了とともに、市内の各投票所から集められた投票箱は、市職員によって開票作業が行われます。作業は深夜2時頃まで続き、最後に投票用紙を箱に納めて押印し、終了しました。市職員の方々はそのまま朝から通常業務に入るため、選挙のたびに行われる開票作業は本当に大変です。

さて、総選挙と同時に実施された最高裁裁判官の国民審査がありました。今回6人全員が信任されましたが、1949年の制度開始以来、罷免された裁判官はまだ一人もいません。しかし、今回は不信任票、つまり、辞めさせたいという(×)印が10%を超えたことが大ききく報道されました。国民審査は憲法第79条に基づき、解職の制度として設けられており、辞めさせたい意思がある裁判官に(×)を記載するものとされています。

よくあるケースとして、投票用紙の左端に記載された最初の裁判官に、いたずら書きで(×)が付けられるケースがあるようですが、今回不信任率10%を超えた裁判官は4人で、そのうち2人は性同一性障害に関する重要な判決にかかわっていました。

一人は、最高裁が昨年7月、性同一性障害を抱える経済産業省職員が省内の女性用トイレを使用する権利について、使用を制限するのは違法と判断した裁判官です。 もう一人は、昨年10月、性同一性障害者が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を義務付ける法律規定について、違憲と判断した裁判官です。 これらの判決は、性の多様性を認め、誰もが自分らしく生きられる、一人ひとりの権利を大切にする、考えをより深く理解するきっかけとなりました。

今後も、性の多様性など社会情勢の変化に伴い、今までになかった新しい課題が増加すると思われます。そのため、法的観点だけでなく、それぞれの事情や社会全体のことも考えながら、多角的でバランスの取れた判断が求められます。

国民審査は、最高裁判所裁判官がその職務にふさわしいか、国民が直接判断できる重要な制度です。しかし、現状では提供される情報が限られており、判断材料の不足を感じている方も多いのではないでしょうか。憲法の番人を評価する機会として、国民が十分な判断を下せるよう、今後はより多くの情報提供が求められます。

特別国会が11日に召集され、内閣総理大臣の指名選挙が行われる予定です。新政権には、国民全体が経済的な豊かさを実感できる、分厚い中間層の復活を期待します。