先日、市内で地域に根ざしたスーパーを営む方からご相談をいただきました。

創業から約45年になるこのお店は、近年の物価や人件費の高騰で利益が出ない状況が続き、閉店を検討しています。しかし、顧客のほとんどが近隣の高齢者であるため、閉店すると買い物に不便が生じるのではないかと懸念しています。地域のためにお店を続けたいという思いがある一方で、利益が少ない薄利多売の中、店を閉めざるを得ない状況にどうしたらよいかとのことでした。

お店の近くにはコンビニもありますが、野菜や生鮮食品の品揃えは限定的です。また、この地域は市が公表する「買い物不便地域」にも該当し、移動販売も実施されていますが、地域の方からは「なじみのお店で、自分の手で商品を選びたい」という声も多く聞かれます。

店主さんからも、来店客のほとんどが顔なじみの常連客とのこと。お店は、定期的な安否確認や、足を運ぶことによる健康増進の機会にもなっている。さらに、近所の方の中には、お店が身近にあることから運転免許を返納された方もいるそうです。

これは単なる経営問題ではなく、地域住民の生活を支える社会的な役割を果たすための課題です。もはや一事業者の経営努力だけで解決できる問題ではなく、福祉の観点からも取り組むべき重要な社会的課題だと考えられます。市は、この問題を包括的に捉え、解決策を考えていく必要があると私は考えます。

そこで7月15日の一般質問で、私はこの課題を取り上げました。
採算が取れずとも地域住民のために奮闘している店舗を市が支援すべきだと主張し、具体的な支援策として、大穴地区で行われているスーパーへの無料送迎サービスを例に挙げました。高齢化が進む中で買い物支援の需要は高まるため、市が主体となって持続可能な支援策を検討するよう訴えました。

これに対し市は、小売店の減少と将来的な人口減少により商業環境が厳しくなる見通しを示しつつ、地域の商店が果たす社会的役割を認識していると答えました。他の自治体の事例を調査し、経済振興だけでなく幅広い観点から施策を検討するとのことです。今後は、各地区の生活支援コーディネーターと連携し、地域の実情に合わせた買い物支援策を研究・推進していくとの答弁でした。

物価高は消費者の買い控えを招き、小売店も仕入れや光熱費の高騰を価格に転嫁できず、経営が圧迫されています。この悪循環を断ち切るため、政治や行政が果たすべき役割は非常に大きいと思います。