最近、市民の方から(+88)などで始まる国際電話がかかってくるという話をよく聞きます。私の携帯にもかかってきたので、今回は詐欺であると知りながら電話に出てみました。

電話に出ると自動音声が流れ、2時間後に利用停止になるとのこと。通話するには1番を押すように促され、番号を押すとオペレーターの男に繋がりました。鹿児島県のドコモショップで契約した携帯料金が未納であるため裁判を起こすという内容でした。心当たりがないことを伝えると、あなたの個人情報が流出した可能性があるので、被害届を出すよう誘導され、鹿児島県警に電話を転送すると言われました。ここまでのポイントは、身に覚えがないという感情を引き出し、電話転送の前に、日時や金額などの概要を復唱させ、相手が話を信じ込んでいるかを確認しようとします。

通話開始から10分が経過し、ここから主役の警察が登場します。高圧的な感じの鹿児島県警を名乗る男は、今から2時間以内に県警まで被害届を出しに来るよう言いますが、当然無理な話です。すると男は、それなら電話で事情聴取ができるからと、その前に本人確認が必要ですと言って、個人情報を聞き出そうとしてきます。ここで断ると、本人確認ができないなら聴取はできないと、正当な手続きであるかのように装います。よく考えたものです。

暫くして驚いたのが、頂いた個人情報が正しいか照会しますと男が言った途端、電話の向こうで小芝居が始まったことです。ザザッというノイズと共に、まるで無線機で交信しているかのようなやり取りでした。そもそも、本部内で警察官同士が無線でやり取りするのも不自然です。いかにも本物らしく見せて信じ込ませたかったのでしょうが、その手口は滑稽でした。

さらに詳しく事情聴取を行うと言われましたが、私もそろそろ仕事に戻るのでと伝えて、電話を切ろうとしたところ相手は、仕事内容や会社名、勤務時間などさらに情報を引き出そうとしてきました。これを断ると相手の態度が豹変し、「置かれている状況はわかっているのか、仕事と聴取どっちが大事なのか」と逆ギレ。相手も、ここまで時間を使って電話を切られたらすべてが無駄になるので必死です。私も逆ギレで応戦。次の予定があったので、ここで電話を切りました。最後はどのような展開になるのか手口を知りたかったのですが、残念です。

だいぶ話を端折りましたが、ここまで60分間話し続けて、詐欺電話にお付き合いしました。学生時代の恋人との長電話以来です。とても疲れました。

感じたことは、絶対に電話に出ないことです。巧妙な筋書きで話が流れ、長時間話していると、疲れと同時に集中力も切れてしまい、思考も判断も鈍ります。そこで、まくし立てられれば、相手の思うツボです。相手の心理をついた巧みな話術でした。日頃から、大事な番号は連絡先をこまめに登録して、登録済みの番号だけに出るようにしておくことが、今すぐできる安全策かもしれません。ご注意ください。

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