最近、過度な要求をするカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が社会問題になっています。皆様も普段、仕事をする中で、理不尽な対応や要求など、「これは少しおかしいのでは?」と感じた経験があるのではないでしょうか。少し前までは「クレーム」という表現が一般的でしたが、最近では、その一線を越えた行為が「カスハラ」として社会的に注目されるようになりました。

私も学生時代のアルバイトで、レジでお釣りの渡し方、お弁当に箸をつけ忘れ、オーダーミスなど、お客さんからはよく怒鳴られました。クレームが入るお店側にとっても迷惑な話で、こうしたケースは改善しなければなりませんが、叱責が度を越していたり、改善の要求を超えたものになったりすると、それはお店にとっても、働く店員にとっても大きな精神的負担となってしまいます。

クレームとカスハラの違いですが、言い換えれば「苦情」と「嫌がらせ」の違いです。例えば、ラーメン屋さんで「どんぶりに親指が入っていた」と伝えるのは、お店にとっては改善につながるクレームとなりますが、「土下座して謝罪しろ」などと怒鳴り散らすのはカスハラになります。つまり、改善を目的とした苦情から「嫌がらせ」に変わると、それは単なるクレームではなくカスハラになってしまいます。

総務委員会で10月16日、市職員向けのカスハラアンケート調査結果の報告を受けました。その結果、職員の26%、約4人に1人が被害を経験したと回答しています。主な内容は「執拗な言動」71%、「威圧的な言動」63%、「精神的な攻撃」54%などです。原因となるきっかけは「利用者の誤認・誤解」78%や「不満のはけ口」70%が多く、誤解や理不尽な理由が攻撃につながっていることでした。つまり、誤解や不満のはけ口として職員が攻撃の対象となるケースが多いことがうかがえます。

特に深刻だったのは、報告されたカスハラのうち2.3%が「身体的な攻撃」とのこと。これはハラスメントの領域を明らかに超えた暴力行為であり、傷害事件として扱うべき事案です。そのことから、私は委員会で、このような悪質な行為には毅然とした対応を取るとともに、被害を受けた職員への十分なケアを行うよう求めました。

本来、サービスをより良くするための「お客様の声」が、いつしか一線を越え、過剰な要求や相手を疲弊させるだけの言動へとエスカレートしてしまっているように思います。お店や窓口で対応してくださる方も一人の人間であり、私たちもまた、別の場所ではサービスを提供する側でもあります。今こそ、お互いを思いやる「お互い様」の精神が必要ではないでしょうか。

【動画】船橋市議会 総務委員会