名簿をもとにお金があることを確かめてから強盗に入る「アポ電」による強盗が多発しています。今年1月には、息子を装う男から「自宅に現金があるか」などを確認する電話を受けた東京都渋谷区の高齢夫婦が強盗に襲われ現金2000万円を奪われる事件が発生。そして先月には江東区のマンションで80歳の女性が不審な電話の後、手足を縛られて死亡する事件が発生しました。いずれも犯人が事前に現金の有無を調べながら電話でアポイントをとる「アポ電」を入れて犯行に及んでいたことがわかりました。いずれの事件も同一グループの犯行の可能性があるとされています。
「アポ電」で利用されている名簿は、もともと振り込め詐欺で利用されていたものですが、振り込め詐欺対策に対する世間の関心が高まったこと、相次ぐお金を受け取る(受け子)の逮捕などで、取り締まりが厳しくなったことなどから、振り込め詐欺グループは日に日に形を変え、巧妙化しています。詐欺集団から強盗集団へ、「受け取る」から「奪いに行く」という手口で、被害者の命をも奪う犯罪が凶悪化しています。私たちの身の安全を守るためにも早急な対策が必要とされます。
これまで市議会で、振り込め詐欺対策を強化すると同時に、変わる詐欺等が発生することが考えられ、あらゆることを想定した対策が必要であると提言して参りました。その最中、今回の「アポ電」による死亡事件にまで発展したことは本当に残念であり許せないことです。
2月26日の一般質問では、詐欺相談窓口の一元化について質疑しました。現状、詐欺に関する相談を行っていますが、詐欺かどうかもわからないような事案についての相談ができる窓口がわかりませんでした。少しでも不審な点があれば相談できる窓口を設けること、あるいは誰にでもその相談先を知ってもらえるよう、わかりやすい周知をすることが必要です。そこで、誰にでもわかる相談窓口を設けるよう提言した結果、相談先に悩まれている方からの相談が受けられるよう周知方法を検討するとのことでした。
来年度予算では、船橋市は振り込め詐欺防止対策費として約1100万円の予算が計上されています。また、千葉県においても、野田剛彦県議会議員による詐欺被害撲滅に向けた取り組みで「電話de詐欺」被害防止広報・啓発事業費として、1億2300万円の予算が割り当てられました。前年度よりも463万円増額したことから千葉県警も詐欺被害撲滅に力を入れていることが伺えます。
詐欺被害ならびに命の危機にも晒される強盗被害も不安視される中、引き続き、県と市で連携を強化しながら、わかりやすい周知と徹底した対策を行い、市民の命と財産を守り、特殊詐欺被害撲滅を目指します。