政府は来年4月に発足する「こども家庭庁」で、各地域でいじめの問題について相談できる窓口の設置を予定しています。文科省の調査で、いじめの認知件数が増加傾向にあること、そして子どもの自殺が増加傾向であり深刻な状況であることから、学校以外の相談窓口を設け、子どもたちのSOSを察知することが狙いです。私も市民の方から、学校や教育委員会に相談しても改善されず、どこに相談したらいいのか分からないとの声が寄せられているなか、本事業には大いに期待したいところです。
私も中学一年の時にいじめに遭った経験があります。当時、一番仲良しだった友人は、学校でリーダー格の存在でした。しかし、その友人との関係がこじれてしまい、彼の鶴の一声によって、全員から無視されるようになりました。挨拶しても無視、名前を呼びかけても無視、まるで透明人間のような扱いをされ、無視されることは精神的なダメージが大きく本当に辛かったことを覚えています。自分がいじめられていることを、友人はもちろん、親や先生にも恥ずかしくて相談することができませんでした。そして学校を休みたくても、親に怒られるのが怖かった為、無理やり登校しました。誰にも相談することができず、まさに八方塞がりの状態で悩みに悩んだ学校生活を送りました。
いじめが起きると収まるどころかエスカレートします。そして一度不登校になると学校へ復帰するのは難しいのがほとんどです。こうしたことから私は、発生してからの事後対応ではなく、事前対応もしくは、発覚後の初動対応がとても重要だと思います。
船橋市のいじめ認知件数は、令和三年度で小学校7,882人、中学校1,117人、直近5年間で約2倍を超える増加傾向にあります。過去に本市のいじめ基本方針の見直しを指摘して、新たに「船橋市いじめ基本方針」が策定されました。これによって基本的な考え方、学校等が実施すべき施策、重大事態への対処などが体系的に整理されました。
そして不登校者数は、令和三年度で小学校388人、中学校633人、直近5年間で約1.5倍に増加しています。不登校児童生徒の支援として適応指導教室が設置されていますが、年々増加していることから、北東部にも新たに設置をしていくことを検討しているようです。
しかしどうでしょうか。市はあらゆる対策を行っていますが、果たして子どもたちの状況は変わったと言えるのでしょうか。前述の数字を見れば明らかです。状況が変わらないのであれば、取り組みあるいは環境のどちらかを見直す必要があります。
私は前定例会で、「不登校特例校」の設置を取り上げ、子どもたちの環境を見直すべきであると質しました。市教委は新たに適応指導教室を設置するとのことでした。さらに県議会において野田たけひこ県議が「不登校特例校」の設置と、県内市町村への不登校特例校設置の働きかけや、財政支援や人材派遣等、様々な協力体制の検討を要望した結果、県教育長は「設置を希望する市町村に対して必要な支援を行うなど、連携して取り組む」との答弁でした。
18日から開会される議会において私は、再び市の見解を伺う予定です。現状維持か、それとも前向きに検討していくのか、新しい教育長となった新体制のもと、市の姿勢を再確認したいと思います。