昨年のこの時期、本紙で【実録60分】警察官をかたる詐欺を書かせていただきました。携帯にかかってきた国際電話に、詐欺と知りながら60分間応対した内容です。
その後も、ネット回線やマンション投資、なぜか仏壇買いませんかなど、営業電話がひっきりなしにかかってきます。市民相談もあるため、登録のない番号にも出るのですが、「お世話になります」と親しげに話しかけられ、知り合いかと思って「はい、高橋です」と名乗ると、結局は営業電話だったということも。名前を知られると、一方的には切りにくいものです。逆に、知らない番号だと思って無愛想に出たら知り合いで、慌てて声が裏返るほどワントーン上げることも多々あります。
先日、朝の駅頭で市民の方から警察庁推奨アプリというものを教えていただきました。詐欺に使われた可能性のある電話番号を最新のデータベースと照合し、発着信の際に警告を表示したり、着信そのものを遮断したりしてくれる内容です。私も実際に入れてみたところ、詐欺らしき電話は大幅に減りました。アプリを入れてデータベースを更新するだけですので簡単です。離れて暮らす両親にもすすめました。
特に最近は、企業などで不正アクセスによる情報漏洩が相次いでいます。
私も、焼肉屋さんのアプリなどから流出していないか心配です。これだけ続くと、個人情報は流出しているかもしれないという前提で備えることが重要です。その対策として、知らない番号には出ない、詐欺対策アプリを使う、パスワードを使い回さない、などです。さらに驚いたのは、「あなたの情報が漏洩している可能性があります」と不安をあおる、漏洩を逆手に取ったショートメールまであることです。メールのリンクは押さず、手間ですが、公式サイトや公式アプリから直接確認することが効果的な対策です。
少し前に、アンソロピック社のAI「クロードミュトス」が話題になりました。人間が長年見つけられなかった脆弱性を発見し、攻撃まで自動で行える能力があるとされ、現在も一般公開はされていません。防御強化を目的に、日本政府や一部の金融機関がアクセス権を取得しましたが、その後はどうなったのでしょうか。
私は、この防御能力を一部だけにとどめるべきではないと考えます。国家サイバー統括室などが窓口となり、民間のセキュリティ会社と協力して、幅広い企業の防御を支援する仕組みが必要です。そうすれば、ミュトスを直接使えない企業も防御力を高められます。AIの力を社会全体に行き渡らせることこそ、AI時代に国が果たすべき役割ではないでしょうか。