埼玉県八潮市で1月28日、大規模な道路陥没事故が発生しました。
今回の事故に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い救助と、そして皆様の安全を心よりお祈りいたします。
報道によれば、事故の原因は、下水道管の老朽化による腐食と、事故現場が主要な交差点であり、一日2万台を超える交通量、特に大型車が多かったことが重なり、今回の事故につながったとされています。高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化が、各地で深刻化する中、維持管理の方法など含めて、抜本的な見直しが必要であることを改めて浮き彫りにしました。
2016年、行政視察で博多を訪れていた私は、博多駅前で発生した道路陥没事故に遭遇しました。その日の夕方、新幹線で博多駅に到着したところ、駅構内は停電のように薄暗く、電光掲示板には事故発生の文字が表示されていました。宿泊先は事故現場の目の前だったことから、陥没した道路には、深く巨大な穴が広がっている様子を目の当たりにしました。その晩は夜通し復旧工事が行われ、深夜に響く工事の作業音、そして現場を照らすライトの光が宿泊先から見えました。大変な衝撃を受けました。
八潮市の道路陥没の報道を受け、市民の方から「船橋は大丈夫なのか」という声がありました。
船橋市では、昭和40年頃から下水道整備が進められ、市街化区域の整備率は95%に達しています。家庭や工場で使用した水は、地下の下水道管を通って下水処理場へ送られます。船橋市の下水処理区は高瀬、西浦、津田沼、印旛、江戸川左岸の5つに分かれており、小室地域は印旛処理区、二和、三咲、滝不動、鎌ヶ谷大仏は印旛処理区と高瀬処理区にまたがっています。
今回の事故を受けて国は、陥没現場と同様の下水管を管理している都道府県に対し緊急点検を指示しました。千葉県は管理している印旛、江戸川左岸処理区の点検を行っています。船橋市も2月8日から、車両による空洞調査(非破壊検査)を開始しました。レーダー搭載車両が走行し、地中の空洞や埋設物などを探査して、異常が確認された場合は、内部に入って詳細な調査を行います。
日本のインフラは、1970年代の高度経済成長期に集中的に整備されました。一般的な耐用年数である50年が経過し、老朽化が進んでいる施設が増えています。国土交通省の社会資本の老朽化の現状と将来によると、2040年には、道路橋75%、下水道管35%、トンネル53%が耐用年数を超過し、老朽化が急速に進みます。まさに危機的な状況です。
今回の事故に限らず、全国各地での点検体制の構築が急務です。一朝一夕で対応できるようなものではありません。待ったなしです。