新年度が始まって早くも一週間が過ぎ、新しい環境にも少しずつ慣れてきた頃でしょうか。
最近、新卒者からの退職代行サービス利用が急増しているというニュースがありました。その背景には、入社前に説明された条件と実態の相違があり、休日出勤や給与が事前説明と異なるといった問題があるようです。
特に共感したのは、仕事が分からず質問しようとすると「まず自分で考えろ」と言われ、自分なりに考えて進めていると今度は「わからないなら聞け」と怒られたという意見でした。令和になった今でもこうした理不尽な状況があるのかと驚きました。私自身も過去に退職を申し出た際、今で言うパワハラ的な、半ば強引に引き止められた経験がありました。もし、その当時に退職代行サービスがあれば、私も迷わず利用していたでしょう。
サービスの利用には賛否ありますが、利用者が増えているという事実として、企業は利用者の訴えに真摯に耳を傾けるべきですし、国はこのような実態を見過ごしてはなりません。
さて、4月1日に労働関連の法改正が行われました。代表的なものは次のとおりです。
【自己都合退職者の給付制限短縮】自己都合で退職した場合の失業手当受給までの待機期間が2か月から1か月に短縮され、職業訓練受講で待機期間が免除される制度も導入されました。
【育児時短就業給付の新設】2歳未満の子を育てるために短時間勤務を選択した人に、給料の10%が追加支給される制度が始まりました。男女共に利用可能です。
【残業免除の対象拡大】残業免除の対象が「3歳未満」から「小学校入学前」の子育ての方に拡大されました。さらには、子の看護等休暇の拡充として、対象年齢が小学校3年生修了までに引き上げられ、病気や怪我の看護だけでなく学級閉鎖や入学式、卒業式などの行事参加も取得理由として認められるようになりました。
【介護離職防止のための周知義務】家族の介護が必要になった社員に対し、会社は休暇や支援制度を個別に説明し、利用意向を確認することが義務化されました。
【高年齢雇用継続給付の引き下げ】60歳以上の働く人への給付金上限が15%から10%に減少しました。限られた財源の中で社会保障制度の持続可能性を図るための措置です。
このような法改正は育児や介護と仕事の両立支援を強化するものですが、企業風土の改善も同時に必要です。退職を考える場合、代行サービスには数万円の費用がかかります。
その前に、まずは公的機関や労働組合の無料相談窓口の利用をお勧めします。
例えば、連合が実施している、なんでも労働相談ダイヤル(0120 154 052)では、働く方々の雇用や権利を守る活動を行っています。「おかしいな?」と感じたら無料の労働相談をされてみてください。