最近、全国各地でクマの被害が多発しています。特に、先のお盆休み中に北海道で登山者がヒグマに襲われるという痛ましい事故が発生しました。被害に遭われた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
ヒグマによる死傷事故が後を絶ちません。北海道に移り住んで17年になる母がいますが、ヒグマの被害は大丈夫かと連絡したところ、幸い、住んでいる地域は平野部なので出没はないとのことでしたが、住宅街には普通にキツネが歩いているとのこと。アーバンフォックスでしょうか。驚きましたが、ひとまず安心しました。
日本にはヒグマとツキノワグマの2種類が生息していますが、ヒグマは主に北海道に、ツキノワグマは本州と四国に生息しています。大きな違いとして、ヒグマは体長2〜3メートルと大型で、凶暴かつ危険性が高いとされる一方で、ツキノワグマは体長約1.5メートルと小型で、人を怖がる傾向が主な特徴です。
環境省によると、令和5年度のクマによる人身被害は198件(219人、うち6人死亡)と過去最多。被害は東北地方、特に秋田県や岩手県で多く発生し、冬眠前にエサを求める10月に集中して増加、発生場所は人家周辺が多いとされ、これからの時期はさらなる注意が必要です。
【環境省】令和6年度 第2回クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議
その背景には、山の食べ物の減少に加え、畑の放置が増えて民家と山の間の緩衝地帯が失われたことにあります。かつては畑や家庭菜園で作業する人の姿が見られ、臆病なクマの接近を防いでいましたが、高齢化や後継ぎ不足で維持が難しくなり、その境界もなくなり、結果クマが人里に入りやすくなったことが要因とされています。
ちなみに、本州で唯一クマが生息していないのが千葉県で、「クマなし県」とも呼ばれています。理由は、房総半島が平野や海に囲まれ、他の山地からクマが移動してくるのが難しかったためとされています。実際に、環境省のガイドラインにも「ヒグマは北海道、ツキノワグマは千葉県を除く本州と四国の一部地域に生息しています」と明記されています。つまり、房総半島の特有の地形が、クマの侵入を防いでいます。
しかし千葉県には、イノシシやシカ、キョン、ハクビシンなど多くの野生動物が生息しています。県の調査で令和5年度には、船橋市で約18万7千円の農作物への被害が確認されています。最近は特に、ハクビシンに関する相談が増加しており、市では対策として、エサとなる生ごみの放置をしない、家屋の破損箇所の修繕による侵入防止、敷地内の草木を手入れして隠れ場所を減らすことなどを呼びかけています。
野生動物との適切な距離を保ちつつ被害を抑える、いわゆる共存には、野生動物が寄りつきにくく、住みつきにくい環境を、人間側で整えていくことが大切です。