先日、私が普段から利用しているクレジットカード会社から突然、不正利用の疑いがあるから至急連絡をしてほしいとのメールがありました。利用停止の恐れがあるとして、慌てて連絡したところ、心当たりのない海外利用が複数あったとのことでした。実際の利用は、カード会社の不正検知システムによって検知されたことで、不正利用は免れましたが、結局カードは再発行となり、新しいカードが到着するまでの間、不便を生じることとなりました。

今回の出来事で、不正利用の検知ができる技術に感心したことと同時に、個人情報が外部に漏れていることに不安を感じました。しかし最近は、不正利用の他、送信者を詐称して偽の企業サイトにアクセスさせ、個人情報を聞き出そうとする、いわゆるフィッシング詐欺が多発しています。カード会社や銀行、宅配便など大手企業サイトを装って、緊急連絡のような文章で不安を煽り、個人情報の入力を促す不審なメールを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

フィッシング詐欺被害の状況ですが、フィッシング対策協議会に寄せられた報告件数では4万8千740件(21年10月)、同様の詐欺である特殊詐欺認知・検挙状況等について特殊詐欺対策の認知件数は1万3千53件(警察庁21年1月〜11月)であることから、近年フィッシング詐欺の危険性が高まっていることがわかります。最新のフィッシング詐欺事例は迷惑メール相談センターが参考になります。

さて、先月21日、私が所属する総務委員会で船橋市DX推進計画(素案)について報告がありました。(DX・・・デジタルトランスフォーメーション。IT技術の浸透でより良い生活へ変革させるもの。)主な内容はデジタル技術を活用して、市民サービスの向上と、デジタル化による行政運営の効率化を目指すものです。これまで私たち市民が窓口に行くことや、印鑑、書類のコピー持参の手間や、市役所では膨大な資料や同じ作業の繰り返しなどをデジタル化することで効率化を図ることを目的とした納得感のある計画案でしたが、セキュリティに関する内容はわずかでした。しかし、市民アンケートでは、デジタル技術に対する不安の中で、個人情報の漏洩やプライバシーの侵害が回答の約8割を占めています。完璧なセキュリティ対策というものはありませんが、私たちの財産を守るには、これからはITやAI(人工知能)を駆使して未然に危険を察知する防犯対策が必要です。

高齢者世代がネットを利用することについては、デジタルネイティブ世代との距離も近くなり、世代間ギャップを縮めるコミュニケーション手段の一つであること、そして、家族と離れていても、緊急時なども安心であることがメリットとなっています。市が目指すデジタル化等は非常に魅力的ですが、便利と危険は常に隣り合わせ、表裏一体です。市民の誰もが安心してデジタル技術を活用するには、セキュリティへの不安の壁を拭い去る必要があります。これは全世代における共通課題でもあると思います。