近年、人間関係の希薄化が指摘されていますが、「旅は道連れ世は情け」に由来する、情報流通が少なかった江戸時代には、旅行する時は道連れが心強く、そして世渡りも互いに情けを持っていくのが心の助けとなるとされています。

生まれた頃からネットやデジタルデバイスが整っているデジタルネイティブ世代の現在とは対象に、ネットがなかった頃は今よりももっと人間臭いところがありました。私も中学生だった頃は、学校帰りの寄り道先となる駄菓子屋や商店、帰り道に毎回会う知らないおじさんに学校や親の事を相談したものでした。悪いことは悪いと怒られ、そして良いことは良いと褒められ、どんな時も最後は味方となって親身に相談に乗ってくれるものでした。

それが現代では、知らない人に挨拶をしてはいけないなど、他人との距離感が大きくなってしまいました。しかし、その距離感は縮まったかといえば、リアルからネット上に置き換わったもののような気がします。すなわち、時代が変わっても人との関わり合いが求められているのだと思います。

総務省が公表しているスマホの保有状況は国民の約9割とされ、ネット環境があれば誰とでも繋がれる時代となりました。これまで遠い存在だった人とも、そして日常生活では縁がなかった人とも、真偽の定まらない情報が混在している中で接点が持ててしまうようになりました。「渡る世間に鬼にはなし」という言葉の対義語に「人を見たら泥棒と思え」ということわざがありますが、誰とでも繋がれるネットだからこそ気をつけなければならず、ネット上においては後段の考え方を持っておく必要があると思います。

最近、SNSの危険性が社会に衝撃を与えています。札幌で起きた女子大生死体遺棄事件、そして、横浜市の女子中学生が橋から転落した事件など痛ましい事件が起きました。本来であれば自殺を止めるべきであるはずが、ほう助するとは到底理解できません。このような悲惨な事件を繰り返さないためにも、思い詰める前に、普段からストレスを溜め込まないように、気軽に相談しやすい環境をつくることが大切です。

過去にも孤独・孤立対策についてを議会で取り上げましたが、船橋市では現在、複数の相談窓口を案内しています。しかし、受付時間が短かったり、電話が繋がりにくかったりと、もう少し相談者が相談しやすい時間帯や状況などに配慮し、悩み事や心配事を相談したい時に、相談しやすい環境を見直していく必要があると思います。

これまでに相談窓口に寄せられた相談内容を傾向分析し、思い詰めてしまう前に気軽に相談できる、ネットや電話に限らずリアルな解決方法も視野に入れた相談体制について次の議会で取り上げて参りたいと思います。