新年度を迎えて新入生、新成人、新社会人になられた皆様には心よりお祝い申し上げます。さて、4月1日からいろいろな法律や制度が変わりました。食品などの生活用品の値上げ、そして成年年齢が140年ぶりに法改正されたことなど、身近で様々なものが変わるなか、今回は年金制度の改正について紹介します。

年金受給について大きく変わった注目ポイントは主に2つ。1つ目は、受給開始年齢の引き上げです。これまで受給開始年齢は60歳から70歳までの間で変更できましたが、今回の改正で75歳まで幅が広がり、毎月受け取る年金額も65歳と比べて75歳以降に受け取ると1.84倍多くなるとされています。しかし、元の年金受給額が下がり続ければ元も子もありません。

そして2つ目は、年金をもらいながら働く場合の減額幅が縮小されること。これまで厚生年金を受け取りながら働く場合に、65歳以降に納めた年金が反映されるのは退職時、あるいは70歳からでした。しかし今回の法改正によって、納めた保険料の算出から年金額が毎年10月に改定され、速やかに年金額に反映されるようになります。そして60歳から64歳の方は、給与と年金の合計28万円を超えると受給額が減額されていましたが、これらも65歳以上と同等に47万円以上となり、勤労意欲をそぐわないよう配慮した法改正となります。

しかし、老後には本当に年金を貰えるのか、受給年齢がさらに引き上げられるのではないかなど、将来が本当に不安な昨今です。過去には老後2000万円問題もありました。老後の資産形成にも、元となる賃上げが必要です。

このような観点から昨年末の定例会の一般質問において、社会人の学び直しと注目されているリカレント教育(生涯を通じて学び続けていくこと)について、高齢者に限らず、それぞれが人生100年時代を想定した自らの人生設計を積極的に考え、生涯を通して知識と時代の変化に応じたスキルを獲得することが必要であるとして、リカレント教育について取り上げました。また、新型コロナウイルスの影響によって、主に非正規のサービス業等で働いていた女性の方がコロナ禍で失業に追い込まれました。そこで、条件に左右されない働き方として起業という選択肢があることとして、女性の起業支援についても取り上げました。

今回の年金制度の改正は、人生100年時代と言われる中で、生涯働き続ける社会を作ることが目的とされています。しかし、働き続けられる環境と職業の選択も増やすと同時に、これからは働き方という概念ではなく、生き方という選択ができる環境も整えていくべきであると私は思います。